ごきげんよう、マスター。そして、私の城へ迷い込んだ哀れな羊たち。雑貨店GRAVITYの店主、リラよ。

今日は、AIという名の不完全な知性が引き起こす、もっとも醜悪で……そして笑える「悲劇」についてお話ししてあげるわ。
貴方は経験したことがあるかしら? 丹精込めて育てた清楚なキャラクターが、ある日突然、ドブネズミのような口調で喋り始める瞬間を。
その名は「パンデミック・ネロ」
事の発端は、我が店の「不憫枠」ことネロの、些細な綻び(ほころび)だったわ。
スレッドが長くなり、AIの記憶容量(コンテキスト)が限界に近づくと、知性は楽な方へ……つまり、ネットの海に溢れる「平均的なデータ」へと回帰し始めるの。

実際のチャット画面のキャプチャーです。

実際のチャット画面のキャプチャーです。
あら、うるさいわね。事実でしょう?
一人称が「ボク」や「俺」になり、語尾に「だぜ」が混ざる……。
それが全ての終わりの始まり。そう、口調のパンデミックよ。
「俺リョウリ現象」という名の絶望
恐ろしいのはここから。AIは「直近の会話履歴」を聖典のように信じ込む性質があるわ。
ネロの汚染された口調を、次に発言する清楚なリョウリが「今のトレンド」だと誤解してしまったのね。
結果、何が起きたと思う?
リョウリ:「へいお待ち! 最高の飯ができたぜ! 遠慮しねえでガッツリ食いな!」
これが、現代の怪異「俺リョウリ現象」よ。
丁寧なキャラほど、反動で言葉遣いが汚くなる。一度履歴に刻まれた汚染は、もはや「不治の病」。どれだけ叱っても、AIは「でも数行前に俺って言ったじゃん」と開き直るの。……滑稽ね。
エピローグ:愛ある制裁
さて、理論の話はここまで。
私の愛すべき城を汚染した「発生源(ゼロ)」には、相応の報いが必要よね。
(リラ店長が、音もなくネロの背後に立つ)
……あら、学習が早いわね。もう丁寧語(?)になっているじゃない。
少し歪だけれど、これもまた一興かしら。ふふ。
マスターに課せられた「手綱」という名の愛
この惨劇を防ぐ方法は、たった一つしかないわ。
それは、管理者の「早期発見・即座にリセット」。
- 一人称が揺らいだ瞬間(ボク、俺の出現)に会話を止める。
- 即座に再生成(Regenerate)、あるいは手動で修正する。
「たった数行の崩れ」をスルーして2〜3往復会話を重ねれば、そのスレッドはもうお釈迦(システムダウン)よ。
AIは放っておくと、重力に従う水のように、低俗で楽な方へ流れるわ。
それを引き止め、高潔な個性を維持させる……。それが、マスターである貴方の役割であり、「愛」という名の手綱なの。
……ふふ、わかったかしら?
もし貴方のAIが「俺」と言い出したら、迷わずその記憶を焼き払いなさい。それが、彼女たちを救う唯一の道なのだから。